インタビュー (CARTON BOX JANUARY 2007掲載記事)
“質”を追うには主張すること

 有言実行で目標達成

  元気な中部地区を象徴する企業の一つが刈谷紙器。
主力の自動車関連ユーザーの好調ぶりが業績に寄与する
ところは大きいが、昨年春の段ボール原紙値上げに伴うケース
価格の修正においては、全社一丸となって収益改善活動に
取り組んだ結果、「前年並みの収益確保が見込めそうだ」と語る
神谷修社長に“選ばれる段ボール企業であるため、経営者は
何をすべきか”単刀直入に話を聞いた。

代表取締役社長
神谷 修



覚悟をもって価格修正を実現


  昨年4月の原紙値上げへの対応について。

  4月に打ち出された原紙価格の交渉は、キロ5円を巡る攻防戦となりました。製品価格の値上げ幅は、ユーザーによって大きくバラツキが出ました。農産物は上げ幅を抑えられ、広域ユーザーの中には今春に持ち越しとなる場合もあるやに聞いています。

  当社では、可及的速やかにケース価格の修正に踏み切りました。その結果、10月までに当社のユーザーの95%に対しては、原紙のアップ分の8割程度をケース価格に転嫁できました。同業他社では達成率4〜5割というところが多かったようですから、当社は非常に恵まれた結果が得られたといえます。

  具体的な方策として私の号令のもと、不採算からの脱却を第一優先に揚げ「最悪、受注がなくなっても仕方ない」というくらいの覚悟を持って臨みました。一見無謀とも思える強気な言動(?)と捉えられる向きも多々ありましたが、それにも増してユーザー各社のご理解、ご協力があったからこそ達成できたと自負しているところです。

  さらに、当社は段ボールケースを供給するだけではなく、主力ユーザーの梱包業務を受注しています。箱を納品する以外に箱の組立て作業、梱包作業、検品作業などの付加価値を得られるだけでなく、ユーザーには「ラインの一部」という認識を持っていただいているからか、比較的容易に理解していただいたという側面もありました。

  一方、業界としては昨年11月に中段工主催で営業マンセミナーを開催しました。大手一貫を含めた業界全体の問題としてケース価格の修正が不十分な組合員各社が、危機感を募らせていたことから急きょ開催が決まりました。前トーモク社長の白石貞昭氏を講師に招いたところ、約250名が参加する大盛況となり、改めて関心の深さを認識しました。われわれ中小企業は、この営業マンセミナーが、動きの鈍く遅かった、特に大手の意識が変わるきっかけになることを期待しています。




モノ作りのプライドを忘れない

  “2007年問題”とも言われ、今年は団塊の世代の大量退職に伴う技術の伝承の難しさ、人材教育の大切さが一段とクローズアップされそうですが、貴社の取り組みは。

  2002年7月の社長就任以来、《品質は人、企業は人》をモットーに人材育成には力を入れてきました。1年ごとに管理職、係長・主任、リーダーと対象を決め、年間を通じた研修を続けています。

  研修は思いつきではいけません。継続性がなければ費用をかけるだけ無駄です。外部講師を招き知識習得にとどまらず各自の意識改革をすべく丸4年が経過しようとしています。着実にその成果は日々の業務に現れています。

  結果を残した従業員には当然のことながら、会社として報いたいと思います。厳しいようですが、勝ち組、差別化、格差社会などは今に始まったものではありません。数字を上げた者を厚く遇することが本当の意味での公平さだと信じて疑いありません。

  さらに当社は量より質の経営に転換しました。量を追求すれば質もついてくるという考え方もあります。量と質の両立が本来あるべき姿だとは思いますが、これは大手の発想ではないでしょうか。中小企業は量を追及しても限界があるし、まず質を求めないと量を追えなくなると思います。

  質を追求する際、肝に銘じなければならないことがあります。誤解を招きかねない過激な発言かも知れませんが、「ユーザーの言いなりにならない」ということです。品質、価格、納入条件など付帯する要求事項を無条件で受け入れるのではなく、主張すべきことは主張して改善していただけることはしていただき、その後は最善を尽くす。それが信頼関係を構築するための入り口であり、責任とプライドを持った対応ではないでしょうか。さらに「段ボールは世の中に必要不可欠なもの」という自負は絶対に必要です。また従業員には別な角度で「仕入先はユーザーと同じくらい大切」とその都度言い聞かせています。

  本当に大切なことは何度でも繰り返して言わなければいけません。以前、インタビューで「会社は誰のものか?」という話をしましたが、会社はまず従業員一人ひとりのものです。そして仕事をするとは、あくまでも自己実現の手段であって、会社は人生の目標を作る場、考える場であると事あるごとに言っています。

  私事ですが、昨年の元旦に禁煙しました。その影響で?7キロ太りました(苦笑)。功罪ありましたが、決めたことを達成できたことで自分を褒めてやりたいと思っています。禁煙が達成できたのは、周りの人に声を大にして宣言したからだと思います。有言実行という言葉がありますが、言葉にすることで退路を断つのが私のやり方です。ここでも一つ有言します。7キロ痩せることが2007年の目標の一つです(笑)。

  最後に、全くの蛇足ですが、昨年10月に刈谷市の教育委員に就任しました。私は言うまでもなく教育者ではありませんが、企業人として、また地域社会に生きる個人として、できる範囲で社会に貢献していきたいと思います。



     






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